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from アフリカ ジンバブエ
     
   環境(ゴミ) (Environment)   
     


 ジンバブエに生活してみて非常に気になるのが「人々のゴミに対しての意識」です。正直、汚いです。私も日本やジンバブエでも路上にゴミを捨てたことがあります。その時は少し罪悪感がありました。しかし、僕が感じる限り、ジンバブエの人達はほぼなんの罪悪感なしにどこでもゴミを捨てます。彼等の言い訳のように、「ゴミを拾う人(仕事として)がいるから別に悪いことではないのではないか」・・・・・・確かに言われてみればそうですが。「ゴミが拾われていない場所がたくさんあるのはなぜでしょう?」と彼らに対して思わずツッコミたくなりましたが、やめました。
 自分達の住んでいる街(国)をきれいにしようという意識があるのなら、ゴミのポイ捨て意識やゴミのゴミ箱から先の行方(どう処分されているか)が気になって自然なのではないかと思います。
 ゴミの問題は非常にお金が掛ります。特に国の発展が優先させる途上国の環境(ゴミ)問題は財政的に足を引張っているので後回しにされやすいのも理解できます。
 このページでは、グエルの環境系隊員(職種:水質検査)の協力(写真・文章提供)をもらい、ジンバブエの環境(ゴミ)に対する現状と彼女の隊員活動を紹介します。


ゴミの現状とゴミ処分場水質・大気について環境改善の活動紹介写真


 ■ ゴミの現状とゴミ処分場

 ジンバブエではゴミの種別(燃える・燃えない・危険・有価など)に限らず、すべてひとまとめにされ処分場に埋立てられます。


ゴミの現状とゴミ処分場 巨大ゴミ箱
↑町の巨大なゴミ箱(分別はされていません)



ゴミの現状とゴミ処分場 巨大ゴミ箱燃焼中
↑市役所がガソリン不足で回収できず放置され、
その場で焼却されているゴミ。かなりの悪臭を撒き散らしています



ゴミの現状とゴミ処分場 ゴミの最終処分場
↑ゴミの最終処分場



ゴミの現状とゴミ処分場 Waste Piker
↑Waste Pickerと呼ばれる人達が
有価物を拾って、生活の糧にしています



ゴミの現状とゴミ処分場 アスベストの山で遊ぶ子供達
↑白く積まれたアスベストの山
粉塵が舞うなか、子供達が遊んでいます。信じられない光景です


 ☆ アスベストについて ☆

 日本では人体に影響を及ぼすとして、アスベスト(特に壁や天井の保温材)の住居などへの使用は禁止されています。しかし、ジンバブエでは特にアスベストの使用を制限するような法律はまだないようです。ジンバブエの屋根材のほとんどが現在でもアスベストを使用してます。金属(トタンなど)よりも安価なのが使用の理由です。



ゴミの現状とゴミ処分場 産業廃棄物を投棄する業者
↑業者が産業廃棄物を
市の埋立地に運び入れていることもよくあることです



クリックすると拡大します
↑すでに満杯になったゴミ埋立地
土が緑色っぽくなっているのは、クロム等重金属を含む産業廃棄物が適切処理されないまま、業者によって運び込まれ投棄されたためです。このすぐ横では、メイズ(トウモロコシ)が栽培されていました。汚染された土壌で育ったメイズは、誰の口に入るのでしょうか?


☆ ジンバブエで「ポイ捨て」は違法です ☆

 ジンバブエではゴミのポイ捨てに罰金が科せられています。警察が取り締まることが出来る、りっぱな犯罪なのです。しかし、あまりにもポイ捨てが日常化されてしまい、警察もいちいち取締まっていられない感じです。ちなみに罰金はZ$250(2007年6月現在、インフレでZ$250ではバナナ1本すら買えません)。安っ!罰になっていません。取締りにはLevel1〜10の段階があって、「ポイ捨て違反]はLevel4です。ちなみに同じレベル4の違反には、許可なしに牛・ヤギ・豚・蛇・サルを飼うことなんてのもあります。




 ■ 水質・大気について

 水質や大気汚染に関しての基準値はジンバブエに存在するそうですが、それを犯した企業への罰則規定がまだありません。市役所では各工業地域の汚染状況把握と汚染基準に反した企業への勧告までしかできないのです。


市役所水質検査ラボでの水質検査 市役所水質検査ラボでの水質検査 市役所水質検査ラボでの水質検査

市役所水質検査ラボでの水質検査 市役所水質検査ラボでの水質検査 市役所水質検査ラボでの水質検査 
↑市役所水質検査ラボでの水質検査中

検査手順はまず、不純物を取除くために、サンプルをろ過→電子天秤を使用し試薬を調合
→ビュレットを用いて滴定検査
ガラス器具は最低限そろっていますが、電子機器はほとんどないのが現状です



グエル市の貯水タンク清掃中、なんと30年ぶりだとか!
↑30年間掃除されなかった市の貯水タンクの清掃
底には泥が堆積していて、さらに虫などの幼虫がワンサカいました



グエル市の貯水タンク清掃中に見つかった幼虫
↑ゾワッ!ゾワッ!
蛇口からこんな幼虫が出てきたらどうしよう


☆ 水道水について ☆

 私は最低限、水道水の残留塩素濃度だけは規定値を保ちたいと考えています。つまり消毒のことです。これは検査方法も難しくなくデータを監視し続けることが大切で、今後も可能ですが、浄水場できちんと塩素を加えられるかがポイントです。加える装置が故障していたり、塩素が資金不足で買えなかったり。。。あ〜またお金の問題になっちゃいますね。
 下水処理場はポンプが動いていなかったり、ろ過フィルターが交換できなかったりします。機械が何機かあってもかろうじて1機稼動しているかどうかというところが現状です。
 断水もしゅっちゅうなので、水質を一定に保つのは非常に難しいです。停電=ポンプが動かず水供給ができないところもあります。パイプの老朽化でバースト(破裂)もしばしばあります。メンテナンスできないというのは、かなり痛切な問題です。このような状況だったら、上水道を整備するより、井戸の方がはるかに良いのではかいかと思ってしまいます。



グエルのある工場
↑グエルのある工場
この工場はISO取得済みです。しかし、どうやって審査をクリアしたのでしょうか?


☆ 大気汚染について ☆

 実は私の要請に大気汚染対策が含まれていました。前任者も任期最後の方で少し手をかけていたようです。しかし、赴任して上司や同僚と話し合った結果、私はタッチしないことにしました。理由はまず、資金不足が第一です。現在の状況でサンプリング装置・測定機器が購入できるはずがりません。ジンバブエではハラレとブラワヨに大気汚染を測定できる施設があるらしいのですが、サンプリング装置を移動するだけでも相当な費用が掛ります。後は、個人的に私の全くの専門外というのもありました(- _-;)
 しかし、あのモクモク撒き散らしている煙は大きな問題です。「煙突を直せ」と企業に言いましても、結局資金不足という理由にたどり着きます。今さらムリって感じです。すべては経済が問題・・・・・・日本の企業がグエルのある工場に入っていたことが以前ありました。そのときは、別の煙突を建設したらしいのですが、残念ながら現在は使用されていません。
 市役所はワーカーの健康被害を防ぐために、マスクやメガネの着用を呼びかけるくらいしかできません。工場そのものを封鎖するほどの権力はないのです。罰金制度もありません。
 これは噂ですが、グエルで大気汚染をしている工場は、建設時に風向きを考えて、わざとハイデンシティー(高密度住宅地域)の方に煙が流れるように計算していたとか。現在、工場の拡張工事をしているところもあります。せめて今から建設する施設だけでも、環境に配慮した設計にして欲しいと思います。



☆ 工場の環境に対する意識について ☆

 グエルは工業都市なので、ジンバブエの中でも結構有名な大企業が工場を構えています。これらの企業の中には、ISO14000シリーズを取得している企業もあり、Environment Officer(環境専門員)がちゃんと在籍しています。私にとって、これは意外でした。最初は「アフリカ(途上国)といえども、結構環境について考えているぢゃん」って。環境に対する意識が全くないわけではありませんでした。しかし、それが形式だけになってしまっている事実がここにありました。企業との談話で実際にEMP(Environment Management Policy 環境経営方針)の話に及ぶと、まるで大雑把です。企業ごとに生産物・製造工程・廃棄物はバラバラのはずなのに、どの企業も言っていることは同じようなことで、一般的なことしか考えられていません。上っ面だけで「わが社は、環境に配慮しています!」ということは簡単です。もっと企業ごとに、具体的なプロポーサル(提案)を掲げて取組む必要があると思いました。




 ■ 環境改善の活動紹介写真

 彼女の活動紹介は活動紹介@JOCV>他隊員紹介>環境保全分野の隊員紹介参照


環境クラブのメンバーと会員書 子供達は嬉しそうです
↑環境クラブのメンバーと会員書
メンバーには会員書を発行しました。それには「僕らの町をきれいに!!もうゴミはポイ捨てしません!」と書いてあり、その宣言と共に子供達と約束をしました



子供達相手に青空環境教室を開催
↑子供達相手に青空環境教室を開催
今日の紙芝居は「Drinking Water Adventure!」進行役と一緒に手作りの紙芝居を披露しました
学校に行けない子供達にとっては、模擬授業体験みたいでとても嬉しそうでした。子供達の笑顔にいつも励まされます



環境クラブの清掃活動 ポッカーは直接ゴミを触らないため、衛生的です
↑ポッカーと呼ばれる、ゴミ拾い用のスティック
スティックの先が尖っているのでゴミをグサグサ刺して拾うのがジンバブエ流です



子供達のゴミ拾い風景
↑楽しそうに掃除をする子供達




子供達のゴミ拾い風景 子供達のゴミ拾い風景

環境クラブの清掃活動 大きなゴミ袋を背負って、まるでサンタクロース! 環境クラブの清掃活動 ゴミ袋が小さく見えます
↑今日の体験(思い出)が将来、ジンバブエの環境改善に貢献されるでしょう




環境クラブでゴミ問題をポスターに描く子供達
↑環境クラブでゴミ問題をポスターに描く子供達



夢中でゴミを拾っていた子供達
↑夢中でゴミを拾っていた子供達


☆ 環境クラブについて ☆

 ハイデンシティー(高密度住宅地域)で学校に行けない子供達や孤児達をメンバーに環境クラブを設立しました。大人は頭が固く、ゴミはクリーナー(市役所の清掃員)が拾うからゴミ拾いの必要性がないと、頑として環境教育を受入れてくれない(表向きは都合の良いこと言うけれど)のが現状のようです。しかし、子供達は違います。無邪気で頭が柔軟な彼らに対し、環境教育をする意義はとても大きいと思います。
 環境クラブの活動の中心はこのエリアで行っています。現代の日本ではここジンバブエの様なハイデンシティーを見ることはできないと思います。ハイデンシティーには学校に行けない子供達がうろうろしています。ゴミはそこらじゅうに散乱してとても汚いです。いたるところに「ゴミ捨て場」が勝手にできていて、かなり異臭を放っているところもあります。しかし、ここは絶好の環境教育場所なのです。まず、ゴミが山積された場所に子供達と一緒に見学しに行って、子供達が「どう感じるか?」を最初に聞きます。みんなわかっているんですよねーダメなことって。それをちゃんと行動で示すかどうかってところが問題だと思いました。
 子供達はアクティビティが大好きです。車に乗るチャンスもめったにないので、市役所のごみ収集車を使ったりして楽しく清掃活動をするように考え、計画しています。それが住民へのアピールにもつながると信じています。また、10年後15年後、今の子供達が大人になったときに、自分の子供達にどう話すか、工場に就職したとき公害問題についてどう取組むかに期待したいです。



市内クリーンアップキャンペーン運動
↑市民、市役所職員、一般企業、警察、環境グループ等が
参加し、市役所の主催で市内クリーンアップキャンペーン運動が行われました



市内クリーンアップキャンペーン運動 州知事や市長も参加!
↑州知事やグエル市長も参加し
テレビ局も取材に来ていました。宣伝効果もあり、環境に対する人々の意識も高まるはずです!



市内クリーンアップキャンペーン運動
↑市内のゴミを拾いながら
行進しました



市内クリーンアップキャンペーン運動
↑人々のゴミ問題の意識高揚のためには
市や州、国を挙げてのキャンペーンが非常に有効だと思いました



クリックすると拡大します
↑マドゥベさん手作りの
環境保護啓発ポスター(英語・ショナ語・ンデベレ語)市役所の車に貼って日々アピール中です
「ポスターがほしい!」と問合せが殺到しているとか


2007.6.13



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