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Zimbabwe.NET 青年海外協力隊体験記
from アフリカ ジンバブエ
 ■ インフレーション (Inflation)


ついに、世界最高額紙幣登場!
1000億ジンバブエドル札(なんとゼロが11コ)

 ハイパーインフレーションのジンバブエでは、今年に入ってから高額紙幣をなんと8枚も発給しています。なぜそんなにたくさんの高額紙幣を発給しなければならないのか?それは、インフレの影響で高額紙幣の価値が時間と共にどんどん下がり、紙屑になってしまうからです。


高額紙幣の発給時は、お金としての価値があるのですが、
しばらくするとこのありさまです



↑今まで発給されてきた
紙幣の一覧


 ちなみに、今年に入ってからの高額紙幣発給状況
 1月18日:1,000,000ドル、5,000,000ドル、10,000,000ドル(3種類)
 4月4日:25,000,000ドル、50,000,000ドル(2種類)
 5月5日:100,000,000ドル、250,000,000ドル(2種類)
 5月15日:500,000,000ドル(1種類)

 ジンバブエの2008年3月のインフレ率が過去最高の355,000%に達成したと政府統計局から発表がありました。年率355,000%%の意味は、一年前の物の値段が約3550倍になったということです。日本だと、100円ショップの名前をを355,000円(35.5万円)ショップに変更する感覚?なのです。


インフレ体験(マゾエ) イントロダクションジンバブエのインフレ学習


 ■ インフレ体験(マゾエ)
 ■ マゾエの紹介

 ジンバブエで一番人気の飲料Mazoe(マゾエ)の値段をある同じスーパーで月に約2回写真に収めまして公開します。ジンバブエのインフレーションを一緒に実感してみて下さい。※ マゾエを日本の商品に例えたら、一昔前(人気No.1)の「カルピス」です。マゾエも水に薄めて飲みます。

一番人気のマゾエ飲料
↑一番人気のマゾエ飲料



私の赴任当初の値段
↑私の赴任当初
 Z$1,300(2006.10.4)

 ■ マゾエ価格の推移



                US$ 3



2008.10.21
US$ 3
(なんと、USドルでマゾエが売られていました。国内にジンバブエドルがほとんどないようです。)


マゾエがスーパーから消えました。


2008



                Z$420,000,000



2008.5.9
Z$420,000,000
(1週間で値段が倍に!)



                Z$210,000,000



2008.5.2
Z$210,000,000



                Z$130,000,000



2008.4.17
Z$130,000,000



                Z$63,000,000



2008.3.17
Z$63,000,000
(売切れのため、お店の人に値段を聞いた)
最近は倍・倍ゲーム

2008.3.4

2008.3.4
Z$35,000,000
(いつのもスーパーにマゾエがなかったため、他のお店にて)
※Mはミリオンで0が6つの百万を表す
(35M=35,000,000)

2008.2.23

2008.2.23
Z$19,000,000
(マゾエのオレンジ味がなかったので、
代わりにラズベリー味)

2008.1.8

2008.1.8
Z$9,000,000
マゾエがスーパーに登場する!
価格統制の効き目はまだ切れていないはずなのに・・・・・・それにしても恐ろしい値段



                Z$5,500,000





2007.12.20
Z$5,500,000(ブラックマーケット)





                Z$1,800,000





2007.11.20
Z$1,800,000(ブラックマーケット)





                 Z$900,000



2007.10.12
Z$900,000(ブラックマーケット)
この値段は違法価格(政府固定価格を超過)ですので、裏市場で売買されています。裏市場といっても、こっそり売っているだけですが。でも、ちゃんとしたスーパーには置いてありません。

2007.9.4

2007.9.4
←マゾエが置いてあるはずの棚
マゾエは一体次にいつ表市場に登場するのでしょうか?そして、いくらで売り出されるのでしょうか?
※ マゾエに限らず、他の主要食品や日用品も姿を消しています

マゾエがスーパーから消えました。

2007.7.5
Z$120,000(政府固定価格)
6月26日に政府が主要日用品・食品の
価格統制令を発表しました。そして、マゾエはZ$120,000で販売することが義務付けられました。しかし、この価格でマゾエを販売すると製造、卸、小売とも利益にかないませんので、市場からマゾエは現在姿を消しています。

2007.6.22

2007.6.22
Z$399,000
今月はインフレがいちだんと激しいです

2007.6.19

2007.6.19
Z$165,000

2007.6.11

2007.6.11
Z$99,500

2007.6.1

2007.6.1
Z$72,000

2007.5.22

2007.5.22
Z$72,000

2007.5.10

2007.5.10
Z$58,000

2007.4.10

2007.4.10
Z$47,000

2007.3.30

2007.3.30
Z$34,500

2007.3.16

2007.3.16
Z$21,000

2007.2.5

2007.2.5
Z$13,700
なんと2倍以上の値上げです

2006.1.24

2006.1.24
Z$6,500
どうやら、インフレに便乗して値段を上げ過ぎていたようです。しかし、今月は嵐の前の静けさでした

2006.12.23

2006.12.23
Z$6,900
クリスマス休暇前で購買意欲が高まるのでしょう、激しいインフレが継続中です

2006.12.2

2006.12.2
Z$5,300

2006.11.23

2006.11.23
Z$4,000

2006.11.7

2006.11.7
Z$3,300

2006.11.1

2006.11.1
Z$1,950

2006.10.4




2006.10.4
Z$1,300
私のジンバブエ赴任当初




 ■ イントロダクション
 ■ イントロダクション

 ジンバブエと言われたら、「インフレ」をまず一番に挙げます。二番目は「停電・断水」でしょうか。三番目は政治?・・・・・・四番目はビクトリアフォールズなどの観光について、五番目は・・・・・・

 日々の会話の中で、どこのあの品物が安かった高かった、また値上りしたなどの話を頻繁にします。ジンバブエで生活をしてみて毎週上がる物(食料品・生活用品・雑貨など)や移動・輸送費(コンビ(ワゴン車)・バス・郵便代など)の価格を肌で実感しています。

 いろいろな人(お店の経営者など)のインフレ上昇率の話をまとめて平均しますと、ひどい時で一週間で約20%、平常時でも約10%前後の価格の上昇があるそうです。(2007.6.23)

 2008年に入り、高額新紙幣が市場に流通したことでインフレが加速しています。要因はそれだけではないようですが。ひと月経つごとに、物価が3倍になっています。(2008.3.17)

 日本ではこれ程のインフレを経験したことがありません。むしろ、日本を発つ頃(2006年)日本は、「デフレ」が流行していました。「マックのハンバーガーが100円」というのは、デフレ進行段階での有名な表現だったと思います。


 ■ インフレとは

 インフレーション、英語ではInflationと書き、元々の意味は「膨張」です。物価が継続的に上昇する経済現象のことです。物価の上昇は貨幣価値の低下を同時に意味します。

※ スタグフレーション、英語ではStagflationと書きます。Stagnation(停滞)とInflation(インフレーション)の合成語で、 経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が共存する状態を指します。


 ■ インフレで困ること

  • 給与がインフレつまり物価上昇に追いつかないため、生活レベルが低下してしまう。(どうしても物価上昇のほうが先行するため)
  • 貨幣価値がインフレによって低下し、通貨の国際的信用力が低下する
  • たんす預金は紙屑同然になってしまう
  • 不動産や物(商品や株式)、外貨を所有している人は損をせず、それ以外の人は相対的に損をし、貧富の差の拡大に拍車が掛かる
  • 現金収入がない社会的立場の人々にとって、物価上昇は死活問題である
  □ 私の身近な感想 □
  ※ 現金を持っているだけで、その現金の価値がどんどん下がっていってしまう
  ※ スーパーによって値段がかなりバラバラなため、お店ごとに安い商品を探している時間が
    非常に無駄です
  ※ その場で買うチャンスを逃して、次回また足を運んでみると、買おうと思っていた商品が
    値上りしていてショックを受けます





 ■ ジンバブエのインフレ学習
 ■ インフレ率の推移

年度 インフレ年率 年度 インフレ年率 年度 インフレ年率
1980年度 7 % 1990年度 17 % 2000年度 56 %
1981年度 14 % 1991年度 48 % 2001年度 132 %
1982年度 15 % 1992年度 40 % 2002年度 139 %
1983年度 19 % 1993年度 20 % 2003年度 385 %
1984年度 10 % 1994年度 25 % 2004年度 624 %
1985年度 10 % 1995年度 28 % 2005年度 586 %
1986年度 15 % 1996年度 16 % 2006年度 1,281 %
1987年度 10 % 1997年度 20 % 2007年度 66,212 %
1988年度 8 % 1998年度 48 % 2008年1月 100,580 %
1989年度 14% 1999年度 58 %
 ※ ジンバブエは1980年に独立しました
 ※ インフレ率は政府発表値(国家統計局)だが、低めに算出されているとの指摘がある
 ※ インフレ率の%は0を2つ取ると、年間に物価が何倍になったかの目安になる
   (2007年度:66,212%→1年間で物価が662倍になったということ)


 ■ インフレの雪だるま式(指数関数的)加速

 インフレは雪だるま式(指数関数的)加速のようです。インフレ原因の中でインフレ圧力というものがあります。これは人々の「値段が上がるぞ!」という習慣的考え方や「食品や燃料がなくなるぞ」などの噂によって、「商品やサービスの便乗値上げ」「品物の買溜め」など、負の循環が起こります。この目に見えない形の圧力がインフレをより加速させています。


 ■ インフレの速度別分類

  • クリーピング・インフレーション:ゆるやかに進むインフレで先進国によくみられる
  • ギャロッピング・インフレーション:年率数十パーセント程度の激しいインフレ
  • ハイパー・インフレーション:年率数十倍・数百倍の猛烈な勢いで進むインフレ

 過去のハイパーインフレーションの例で思い当たる国名は、ドイツ・ハンガリー・アルゼンチンです。これらの国に共通して言えるのは、多額の債務を国が抱え、外貨が不足し、財政が悪化していたということです。ジンバブエもすべて当てはまります。


  ■ ジンバブエのインフレ原因

  • 需要の増大からくるインフレ(デマンド・プル)
    • 2000年以降、農産物の生産が激減して国内では食料不足に陥っているため
    • 外貨不足により、主要輸入品目である燃料(ガソリン)や電力(全体使用量の40%が輸入)などが国内で不足し、価格が高騰しているため
  • 供給からくるインフレ(コスト・プッシュ)
    • 賃金(賃上げを要求した結果)や原材料(原油などの輸入品)の価格が上昇し、それらが製品価格に転化され製品価格が値上りするため
  • 外貨不足からくるインフレ
    • 外貨の獲得手段である、観光業の減衰や輸出が減少している。また、主要輸出品目であった農産物の輸出が激減したため
    • ジンバブエは現在、国内電力消費量の半分以上を周辺諸国から輸入している。加えて最近の食糧不足により、ミリミル(トウモロコシの粉)や小麦粉もかなりの量を輸入し、それらの購入に使われる多額の外貨を流出しているため
    • 1998年〜2002年のコンゴ内戦参加での外貨使用やIMFへの債務返済での外貨使用などで、国内の外貨が不足しているため
    • 2000年以降の西洋諸国やアメリカからの経済制裁により、外貨の獲得できにくい環境であるため
    • ジンバブエドルには、外貨両替のパラレルレート(実勢レート)が存在している。ジンバブエ国内の輸入業者は、パラレルレートでジンバブエドルからUSドルやイギリスポンド、ユーロなどに両替している。これはジンバブエドルの信用が外国ではないため、国内で両替せざるを得ないからである。ジンバブエドルに比べ、これら貨幣価値の変化がほぼない外貨の需要は、輸入業者のみに限らず一般市民からの需要も相当である。現在、外貨の需要過多などの要因からパラレルレートがうなぎのぼりに上昇している。このパラレルレートで両替された、外貨は国内で使用されることはほとんどなく海外(輸入元など)で商品購入やサービスなどに使われてしまうため
  • 貨幣的要因からくるインフレ
    • 貨幣が過剰に供給されてだぶついているため
  • インフレ圧力
    • 人々の「値段が上がるぞ!」という習慣的考え方や「食品や燃料がなくなるぞ」などの噂によって、「商品やサービスの便乗値上げ」や「品物の買溜め」などが起こるため

2007.9.17


※ 作者の主観的側面が多く含まれています。


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